複数の企業から内定を得たときや、他社の選考が進んだときに直面するのが「内定辞退」です。伝えづらさから連絡を先延ばしにしてしまう人も多いですが、法律上は原則として自由に辞退できます。伝え方の手順とマナー、引き止められたときの対応を整理します。
この記事の結論
- 内定は「始期付・解約権留保付労働契約」とされ、入社前であれば民法上、原則として自由に辞退できると考えられている。
- 入社直前など著しく信義に反する時期・方法での辞退は、損害賠償を問われる可能性がゼロではないため、決まったらできるだけ早く連絡する。
- 伝え方は電話で一報→お詫びのメールや書面の順が丁寧。理由は正直に、簡潔に伝えれば十分。
- 引き止められても、意思が固いなら丁寧に、しかしはっきりと伝え直すことが大切。
内定辞退は法律上できるのか
採用内定が出た時点で、法的には「始期付・解約権留保付労働契約」が成立していると解されるのが一般的な考え方です。労働者側からの労働契約の解約(退職)は民法の規定が類推適用され、原則として自由とされています。ただし、入社を目前に控えたタイミングでの辞退や、企業側に大きな損害が生じるような特殊な事情がある場合は、信義則上の問題として損害賠償請求のリスクがまったくないとは言い切れません。とはいえ、実務上、内定辞退を理由に損害賠償が認められるケースは非常にまれです。
連絡方法の比較|電話・メール・どちらが適切か
| 方法 | 印象・向き不向き |
|---|---|
| 電話 | 最も丁寧。担当者の時間を割いてもらった経緯があるなら、まず電話で一報を入れるのが基本。 |
| メール | 電話がつながらない、または電話後に正式な記録として送るのに向く。件名で用件がわかるようにする。 |
| チャット・LINE等 | 選考中に使っていたツールであっても、内定辞退のような重要な連絡には基本的に不向き。 |
伝え方の手順とマナー
- 決断したらできるだけ早く連絡する。先延ばしにするほど企業側の採用計画に影響が出る。
- 電話で一報を入れる。採用担当者宛に「内定を辞退したい」旨を明確に伝える。
- 理由は正直かつ簡潔に。詳細な比較や批判は不要。「他社の内定を受諾することにした」で十分。
- お詫びのメールを送る。電話でのやり取りを踏まえ、改めて書面で辞退の意思とお詫びを伝える。
- 貸与物があれば返却する。入社に向けた書類・備品を受け取っている場合は、案内に従って返送する。
引き止められたときの対応
条件面の再提示など、引き止めにあうケースもあります。すでに他社への入社を決めている場合は、迷いを見せると話がこじれやすいため、「大変ありがたいお話ですが、他社への入社を決めましたので」と、感謝を伝えつつ意思が変わらないことを明確に伝え直すのが基本です。年収面での引き止めが決断を迷わせる場合は、転職の年収交渉のやり方で相場観を確認したうえで、冷静に判断しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 内定承諾書にサインした後でも辞退できますか?
A. 内定承諾書は法的な拘束力が強い契約書ではなく、基本的には辞退は可能とされています。ただし、企業との信頼関係に関わるため、決まったらできるだけ早く連絡することが重要です。
Q. 内定辞退で違約金や損害賠償を請求されることはありますか?
A. 原則として労働者側からの解約は自由とされ、実務上、損害賠償が認められるケースは非常にまれです。ただし研修費用などを明確な合意なく請求してくる場合は、労働基準監督署や労働相談窓口に相談しましょう。
Q. 内定辞退の理由は正直に話すべきですか?
A. 詳細な比較理由まで話す必要はありません。「他社の内定を受けることにした」など簡潔な理由で十分です。
まとめ
内定辞退は、入社前であれば法律上原則として自由に行えます。決断したらできるだけ早く、電話とお詫びのメールで丁寧に伝えるのがマナーです。引き止められても意思が固いなら、感謝を伝えつつ明確に断りましょう。転職活動全体の流れは転職活動の進め方 完全ロードマップを参照してください。
出典:民法・労働契約に関する一般的な解説(内定=始期付・解約権留保付労働契約という考え方)に基づく整理。個別の事情については弁護士や労働相談窓口へご確認ください。情報は2026年9月時点のものです。
